一般社団法人 日本スーパーフード協会が毎年発表している「食のトレンド予測 スーパーフードランキングTOP10」。
2022年に日本で流行りそうなスーパーフード第3位にランクインしたのがCBDオイルです。
このランキングの影響なのか?、雑誌やテレビでもよく見かけるようになりました。
私はブースター美容液を探しているときにCBDオイルの存在を知ったのですが、「CBDって何?よくわからない」「え、大麻の成分!?使って大丈夫なのか不安」という理由で手を出しませんでした。
そこで、CBDオイルとは一体どんなものなのか、詳しくご紹介していきます。
CBDオイルとは?
そもそも「CBD」とは、Cannabidiol(カンナビジオール)の略称。
そのCBD(カンナビジオール)は、大麻草に含まれる「カンナビノイド」という成分の一種です。
大麻草には500種類以上もの化合物が含まれており、その中でもCBDは精神活性作用(いわゆる「ハイになる」)がない成分。
この大麻草から抽出されたCBDをキャリアオイルで希釈したものが「CBDオイル」と呼ばれています。
キャリアオイルは、carrier(運ぶもの)という意味の通り、成分を肌に馴染ませて吸収しやすくしたり、全身に運んだりする役割があります。
アロマ(エッセンシャルオイル)を使ったことがある方でしたら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
CBDオイルに使われているキャリアオイルには、ヘンプシードオイル・オリーブオイル・ココナッツオイルなど様々な種類があります。
キャリアオイルに何が使われているかによって味・香り、美容や健康に期待できる効果など特徴も違うので、CBDオイルを選ぶ際に基準の一つとして考えると良いと思います。
大麻はNG(違法)なのに、なぜCBDオイルはOK(合法)なのか?
話題のスーパーフードと言われても、「CBDは大麻草に含まれる成分である」と知った時は、心の中がモヤモヤザワザワしました。
日本でCBD製品が普通に販売されていて、雑誌にも取り上げられているくらいだから、きっと大丈夫なんだろうけど・・・
CBDの知識が乏しい状態で「大麻」なんてワードを目にすると、正直ネガティブなイメージと抵抗感しかありませんでした。
そもそも「大麻」って何?
大麻は「アサ科アサ属」に分類されている植物。
学名はカンナビス・サティバ・エル、原産地は中央アジアと考えられています(諸説あり)。
大麻の歴史について調べてみると、かつては私たち日本人にとって身近な存在であり、日々の生活を支える農作物として重要な存在だったことがわかり驚きました。
日本人は1万年以上前から、生活のさまざまな場面で大麻という農作物を利用してきました。
その用途は広く、日本の独特な風土に適した布、丈夫な魚網や釣り糸、畳表の経糸、蚊帳、下駄の芯縄など多岐にわたり、日々の営みに欠かせぬものでした。
大麻博物館. 日本人のための大麻の教科書 「古くて新しい農作物」の再発見 (Japanese Edition) (p.37). Kindle 版.
日本で稲作が始まるずっと前から大麻があったことがわかっているそうです。
広辞苑における「大麻」の定義
①伊勢神宮および諸社から授与するお札。
②幣(ぬさ)の尊敬語。おおぬさ。
③麻の別称。
④アサから製した麻薬。栽培種の花序からとったものをガンジャ、野生の花序や葉からとったものをマリファナ、雌株の花序や上部の葉から分泌される樹脂を粉にしたものをハシシュといい、総称して大麻という。喫煙すると多幸感・解放感があり幻覚・妄想・興奮を来す。
新村出 編『広辞苑 第7版』岩波書店(2018)
②の「ぬさ」「おおぬさ」は、神社での御祈祷などで使われるものです。


広辞苑では言葉の元々の意味、古い意味や用例から番号順に記載されていることを考えると、「大麻」が日本人の身近にあったものだということが改めてわかります。
大麻規制の歴史
かつては日本人の生活を支える存在だった大麻。
今ではすっかり「悪」のイメージが定着してしまった背景には、戦争(GHQ)や世界情勢が大きく関わっています。
年 | できごと(国) | 概要 |
1912 | 第1回国際アヘン会議(オランダ・ハーグ) | インド大麻の乱用を規制の対象とすることを決議 |
1925 | 第2回国際アヘン会議(スイス・ジュネーブ) | 「国際アヘン条約」締結 |
1930 | 麻薬取締規則(内務省令17号)制定(日本) | モルヒネ類、コデイン類、コカイン、インド大麻草とその樹脂を取り締まり対象として規定 |
1932 | 統一麻薬法(アメリカ) | アヘンとマリファナを「麻薬」と定義づける |
1937 | マリファナ課税法(アメリカ) | 農作物としての大麻とマリファナの区別がなく、大麻農業も取り締まりの対象に |
1941 | 太平洋戦争(アメリカ) | 大麻規制の方針を一変→軍事資源として大麻の栽培を奨励 |
1942 | 原麻生産協会設立(日本) | 軍需用に麻類の増産を奨励 |
1945 | 敗戦・ポツダム宣言受諾(日本) | GHQの占領下に置かれる |
1945 | 麻薬原料植物の栽培、麻薬の製造、輸入及輸出等禁止に関する件(厚生省令第46号)交付(日本) | GHQの指令で麻薬の定義が決められる |
1946 | 大麻農家2名を含む4名の民間人がGHQの命令違反で検挙(京都) | GHQより大麻栽培の禁止と絶滅の命令が下る →日本政府は農作物としての大麻栽培の許可を要望 |
1947 | 大麻取締規則(厚生・農林省令第1号)制定(日本) | 制約つきで農業用大麻の栽培がOKに(許可を受けた県だけが栽培できる・栽培可能面積も限定) |
1948 | 大麻取締法・麻薬取締法 制定(日本) | 農作物としての大麻と、麻薬類を差別化 |
1960~ | マリファナ喫煙が流行(欧米) | 「大麻を喫煙する」文化が日本にも流入 |
1961 | 麻薬に関する単一条約 制定(国連) | 大麻が麻薬に指定され、大麻への規制圧力が世界的に高まる |
2021 | 大麻等の薬物対策のあり方検討会実施(計8回) | 「THCに着目した規制」「大麻使用への罰則」などについて議論される |
2022 | 大麻取締法 改正か?? | 大麻使用罪創設??医療用大麻解禁?? |
大麻博物館. 日本人のための大麻の教科書 「古くて新しい農作物」の再発見 (Japanese Edition) (p.186-p.194). Kindle 版.
こうして歴史を見ていると、THCとCBDが同じ大麻草から取れるってところが厄介だな〜と思います。
全く違う植物だったら有害な方を禁止すればいいだけの話なのに・・・
日本ではTHCを吸引する使い方ではなくて、大麻はあくまで衣食住を支える農作物であり、健康的に使っていたのに、それをGHQが「大麻は全部ダメ!絶滅させなさい!」ってしちゃったわけです。
大麻栽培で生計を立てていた農家はびっくり仰天、大打撃!
当時は数万人規模で大麻農家がいたそうで、その人たちは収入がゼロになってしまいます。
大麻から作られていた生活用品もなくなってしまいます。
慌てた日本政府がGHQと交渉して、なんとか「繊維の採取を目的とした大麻栽培ならOK(ただし、条件つき)」という許可を得たのです(それが大麻取締法)。
現在、大麻取締法改正の動きがあるようで、早ければ2022年春頃になるのではないか?と言われています。
日本の法律における「大麻」の定義
1948(昭和23)年に制定された大麻取締法では、”「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。”とされています。
つまり、同じ大麻草でも、法律では「大麻」には該当しない部位があります。
- 大麻草の茎や、茎が含まれる製品と、大麻草の種子や、種子が含まれる製品はOK
- 大麻草の花や穂、葉っぱ、根っこはNG
NGな理由は皆さんご存知の通り、向精神作用があるから。
これは、花穂や葉に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分によるものです。
一方、茎や種子に含まれる成分には向精神作用がないため、日本でもその利用が認められています。
それがCBD(カンナビジオール)というわけです。
注目の成分【CBD】とは?( BI-SO 国産電子タバコリキッドメーカー)より引用
スーパーフードとしておなじみの「ヘンプシードオイル」も、大麻草の実から抽出されたオイルです(hemp=大麻、seed=種)。
CBDオイルとは?【まとめ】
- CBDオイルは大麻草から抽出したCBDをキャリアオイルで希釈した製品。
- CBD(カンナビジオール)には精神作用はない。
- 同じ大麻草から取れるTHC(テトラヒドロカンナビノール)には精神作用があり、日本での使用は禁止。
- CBDは大麻草の種子や茎から取れる成分。
- THCは大麻草の花穂、葉、根から取れる成分で、大麻取締法により規制されている。
- 大麻草自体はかつては日本人の生活を支える身近な植物だった
大麻やCBD、THCがどういったものなのかを知り、CBD製品への抵抗感が少しずつ薄れてきました。
次回はCBDがなぜスーパーフードとして注目されているのか?何がいいのか?について解説していきます!
